キャリアオイル(希釈用オイル・基材等ともいう)といわれるベースとなるオイルに、濃度が1%以下となるようアロマオイル(エッセンシャルオイル・精油ともいう)を混合したものを指します。

ただし、アロマオイルは肌への刺激が強く、乳幼児や肌が敏感な人に対してはキャリアオイル単独での使用が推奨されていること、キャリアオイル自体に匂いがついたものもあることから、キャリアオイルそのものをマッサージオイルという呼称で指す場合もあります。

キャリアオイルの「キャリア」には「運ぶ(=career)」という意味があり、マッサージオイルのベースとなることで、アロマオイルの成分を肌を通して体内に運ぶことからその名が付けられました。

原料となるのは植物の葉、実、種子です。マッサージに用いられるキャリアオイルの中で広く有名なものとしては、ホホバオイル、スイートアーモンドオイル、グレープシードオイルが挙げられます。

それぞれ特徴として、ホホバオイルは化粧品や石鹸、ボディーソープ、ヘアオイル、その他さまざまな加工品にも広く用いられることからもわかるように、保湿性・浸透性・安定性が高いことからどんな肌質にも合い、滑りも滑らかで乾燥しづらいことからマッサージにも大変適した特徴があります。また、炎症を抑える作用もあるためニキビや乾燥肌、脂性肌といった肌のトラブルにも効果的です。

スイートアーモンドオイルは、原料となるアーモンドにビタミンEが豊富に含まれていることから、肌そのものを柔らかく、保湿する効果に優れており、乳幼児や敏感肌の人に向いているといわれています。

やや粘り気があり、浸透性もそれほど高くない(=ゆっくりと時間をかけて浸透していく)こと、メラニン細胞の元となるメラノサイトを抑制することから二次的な効果として美白や肌の若返りといった、女性に嬉しい効果も期待できます。ただし、酸化しやすいことからオイルそのものが劣化しやすい欠点もあります。

グレープシードオイルは、その名の通りブドウの種が原料となったオイルです。ブドウの栽培過程で廃棄されたものや、ワインの製造で余ったものも原料となるので価格が安く、手に入りやすい利点があります。

べとつきが少なくさっぱりとした質感、伸びがよいことから、夏場の使用や、比較的油分のたまりやすい顔周りへの使用、おなかや背中などオイルを伸ばさなくてはならない広い範囲での施術に適しています。

これら代表的なオイルの他にも、オリーブオイル、ココナッツオイル、ヘーゼルナッツオイル、ホホバオイル…など様々な種類のキャリアオイルがあります。粘性、におい、触り心地、伸び、価格といった観点からそれぞれの長所・短所を見極め、目的に応じて欲しい効果が最適に得られるよう使い分けることが大切です。

アロマオイルに関しては、キャリアオイル以上の種類(300~400種類以上ともいわれます)があり、こちらも主に植物の葉、花、果実、樹脂から生成されます。

基本的に100%天然成分となっていて、その抽出の際に成分が濃縮されるため肌への刺激が強く、原料の種類も多岐にわたることから詳しい効能が解明されていないものもあるため、マッサージに使用する際には必ず前述の通り濃度を1%以下に抑える必要があります。

また、妊娠中や敏感肌・アレルギー体質等の肌が弱い人に対しては使用を避けたほうが良いとされています。

とても多くの種類がありますが、大別すると以下の7つに分けることが可能です。ハーブ系(ローズマリー、ペパーミント…)・フローラル系(ラベンダー、ローズ…)・エキゾチック系(イランイラン、サンダルウッド…)・樹木系(ユーカリ、ローズウッド…)・スパイス系(シナモン、ブラックペッパー…)・柑橘系(グレープフルーツ、オレンジ…)・樹皮・樹脂系(フランキンセンス、エレミ…)

それぞれ主にハーブ系:集中力の向上、抗うつ、脂性肌の改善・フローラル系:不安感の軽減、不眠の改善、血行・代謝改善・エキゾチック系:ストレス解消、女性系の不調(生理不順等)の改善・樹木系:免疫力の改善、薄毛の改善、不安感の軽減・スパイス系:免疫力の改善、強心作用(リフレッシュ)・柑橘系:集中力の向上、不安感の軽減、食欲増進、利尿作用・樹皮、樹脂系:不安感の軽減、集中力の向上、鎮痛作用といった大きな特徴があります。

なお、たとえば同じ柑橘系の中でもグレープフルーツ、ライム、オレンジ、ベルガモット…等さらに細かく分かれるため、特徴はさらに細分化されます。

限られた使用量の中で効果的にアロマオイルの効果を作用させるには、オイルそのものを温めて使用する(直接温めると劣化するので、マッサージの際、手に取り体温で温めるのがよい)・リラックスできる環境を作る・入浴後など、血行の良い状態でマッサージを受けるといった工夫が必要です。